ラーメンの鬼再び!?



ラーメンの鬼と呼ばれている男がいる

その男はラーメンブームの黎明期

子供入店禁止、香水禁止、私語厳禁などという

飲食店として挑戦的なスタイルを貫き

ラーメンのその味だけで

名店と呼ばれる店を築き上げた

麺上げの音だけが響き渡り

ひたすら客が麺をすする音がする

あの緊張感漂う空間






その鬼の元を巣立った者の店がある

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波平ではない










ランチタイムのど真ん中12時過ぎ

入店してみると

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無音である

いらっしゃいませの声もなく

ただひたすら静かな緊張感に包まれる




ここには鬼2号の作ったルールがある

丼の片付けが終わっていない席には

呼ばれるまで着席してはいけない




食券を買った俺に鬼2号は言った

「券売機の前でお待ち下さい」




大丈夫、俺は知ってるから黙って待つ

「こちらの席にどうぞ」

そして着席し黙ってラーメンを待つ

一人で洗い物をこなしながら

静かに、寡黙に、とにかく静かに

ラーメンを作る鬼2号






そのとき新たな客が空いてる席に

勝手に座ろうとした

「片付けるまで券売機の前でお待ち下さい」

聞こえなかったのか、まだ座ろうとする客

「券売機の前でお待ち下さい!」

静かに声を尖らせる鬼2号に

店内の空気が凍りつく






そんな中俺のラーメンが届けられた

磯野らーめん(醤油)

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勇気を出して鬼2号の背中に聞いてみる

しゃ、写真撮ってもいいですか?

背中からとがった声が返ってくる

「いいですよ」

鬼1号なら視線だけで殺されていただろう






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いわゆる全部入りのそのらーめんは

バラ、肩ロースと2種類のチャーシューに

海老、小柱の入った風味抜群の海鮮わんたん

濃厚な黄身の名古屋コーチンの味付玉子が載る

鴨を使ったコクのあるスープに岩のりの風味もマッチ

少々高いがつい頼んでしまうのである

ランチサービス価格の本日の炊き飯も秀逸






なんか写真少なくね?

と思うでしょう

俺の写真は基本的に携帯電話なので

撮るたびにカシャカシャと音が鳴る





たびたび繰り返される

「片付けるまで券売機の前でお待ち下さい」

空気が凍りつく状況の中

撮り続けるほどビッグではなかったのです






ごちそうさまと席を立つ俺の背中に

「ありがとうございました」

静かに鬼2号がはなったその言葉に

やっと緊張感が解けたのでした